地元出身の歌舞伎俳優 中村梅乃の「耳で楽しむ歌舞伎」
昨年もご好評いただきました歌舞伎講座の第2弾、「中村梅乃の耳で楽しむ歌舞伎」が
開催されました。昨年から楽しみにしてくださった方、歌舞伎初心者の方、
多くの方からお申込いただきました。
昨年同様、講演会の幕開けは、梅乃さんからの「口上(こうじょう)」。
「口上」とは、歌舞伎独特の言い回しで、ご挨拶をすることです。
『 ― 隅から隅までずずずいっと、乞い願いあげ奉りまするぅ ― 』
前半は、「芝居のコトバあれこれ」のおはなしです。
歌舞伎用語や江戸言葉の解説と、芝居のセリフを抜粋して披露していただきました。
「どんでんがえし」、「差し金」、「なあなあ」などの言葉は、
歌舞伎の舞台が由来となっているということを皆様はご存知でしたでしょうか。
たとえば「なあなあ」という言葉は、「馴れ合い」や「妥協」という意味がありますが、もともとは歌舞伎の舞台で、役者同士が「なあ」「なあ」とはっきり言わないで
話が済んでしまう様子が由来となっているそうです。
お話の最後には、「勧進帳」など有名な舞台から抜粋したセリフを
いくつか披露していただきました。
どのような時代に作られた芝居か、落語や能など原典はどこかなどによって
セリフの言い回し方が異なります。
大げさな抑揚をつけた表現だけが歌舞伎ではありませんし、笑い方一つとっても、
悪役や遊女などのキャラクターや状況で全く違ったものになります。
たとえセリフを忘れてしまっても、感情を忘れてはいけません。
そして、後半は、皆様とくにお楽しみの実演として、歌舞伎『修禅寺物語』を
朗読劇の形で披露していただきました。
梅乃さんも、夏の着物から紋付袴に衣装を変えられ、雰囲気もガラリとかわります。
登場人物4役とト書きによる解説も演じ分けた舞台です。
普通の朗読とも歌舞伎とも少し印象の違った、まさしく「耳で楽しむ」朗読歌舞伎。
声の調子や表情、扇子のしぐさで情景が目に浮かぶような、熱のこもった朗読でした。
講座の終了後、お客様のお帰りの際には、梅乃さんよりプレゼントの配布が
行われました。
梅乃さんが現在のお名前を名乗るようになった時に、
師匠の中村梅玉さんがデザインをしてくださった一筆箋です。
お客様おひとりおひとりに、直接手渡ししてくださいました。
「今まで歌舞伎に興味がなかったけど、今度舞台を見に行きたい」
「梅乃さんのファンになりました」など喜ばしいお声も聞くことができました。
多くの方に楽しんでいただけたようで、スタッフ一同もうれしい限りです。
これからも、日本芸能の歌舞伎を、そして、地元出身の中村梅乃さんを
より一層盛り立てて、応援していきましょう!